建設業許可の有効期限は、許可日から5年です。
建設業許可更新は、有効期限が切れる30日前までに、更新申請の受付を完了しなければならないため、忘れないよう注意しなければなりません。
最近、許可の有効期限間近でのご相談を受けるケースがあるため、建設業許可の有効期限、更新申請とその必要書類、さらに、申請期限までに許可更新手続きを忘れてしまった場合の対処方法について解説します。

許可の有効期限と更新申請しなければならない日

建設業許可の有効期限は、許可日から5年間で、許可日から5年後の許可日と同じ日の前日までです。
例えば、許可日が、平成30年8月7日の場合、令和5年8月6日までが有効期間となります。
有効期間の最後の日が、休日・祝日であっても、変わりません。
上の例の許可日の場合、令和5年8月6日は日曜日であり、土日・祝日は行政機関がお休みのため、8月4日(金)までに更新手続きを完了しなければなりません。

そして、建設業許可更新は、有効期限が切れる30日前までに、更新申請の受付を完了しなければなりません。
この『受付を完了』というのは、申請書類を提出することだけではなく、申請書類一式の不備がない状態となり、手数料納付していることです。

大阪府知事許可の更新の申請は、許可の有効期限が切れる日の3か月前から、申請手続きを開始することができます。
ただし、許可の有効期限が切れる日の3か月前が行政庁の閉庁日の場合は、直後の開庁日から手続開始できます。
上の例の令和5年8月6日が許可満了日の場合、3か月前にあたる令和5年5月6日(土)と7日(日)が閉庁日のため、申請受付できるのは、令和5年5月8日(月)からです。

営業所に掲示している許可票の許可日がいつなのか確認し、
許可票の下に「更新手続期限日:〇年〇月〇日 〇年〇月〇日申請準備開始」などと明示しておくとよいです。

許可更新に必要な許可業者の義務

建設業許可取得と同様に、建設業許可の更新に要件があり、以下に挙げる内容をクリアしておかなければなりません。

商号、資本金、役員等、専任技術者等の重要事項の変更届の提出

前回の許可申請以降、商号・資本金・役員等・営業所・常勤役員等(経営業務の管理責任者等)・専任技術者等について変更があれば、その変更の内容について変更届を提出していなければなりません。

変更内容届出期間
経営業務の管理責任者の変更
・経営業務管理責任者の変更
・氏名の変更
・経営業務管理責任者がいなくなったなど(基準を満たさなくなった)
・経営業務管理責任者数の変更
・経営業務管理責任者の認定条件などの変更
14日以内
社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)加入状況の変更
・加入の有無の変更
・営業所の所在地の変更などでの事業所番号の変更
14日以内
専任技術者の変更
・担当業種の変更、または、有資格区分の変更
・技術者の交代にともなう就任、退任
・営業所の新設などにともなう就任
・所属する営業所の変更
・氏名の変更
・基準(常勤性等)を満たさなくなったことによる退任(新たな専任技術者の就任の必要がある場合あり)
・一部業種の廃止にともなう担当または営業所の変更
14日以内
支店長などの使用人の変更
・交代や支店などの新設による就任
・交代や支店などの廃止による退任
14日以内
欠格要件の発生
・法人の役員、支店長、個人事業主、支配人などが欠格要件に該当した場合
14日以内
営業所の住所の変更(本店・支店とも必要)
・営業所の移転
・営業所の電話番号の変更
・営業所所在地の住居表示の変更
・支店などの新設、廃止
・営業所の業種の変更
30日以内
商号又は名称の変更
・法人の商号、名称の変更
・有限会社が株式会社に組織変更
・個人事業の屋号や名称の変更
30日以内
資本金の変更
・資本金の増資または減資
30日以内
法人の役員など(株主など除く)の変更
・役員などの就任、辞任、退任
・役員などの氏名の変更
30日以内
株主などの変更
・新たな株主などになった
・保有株式が100分の5未満となり、株主などに該当しなくなったとき
30日以内
支配人、個人事業主・支配人の氏名の変更
・支配人の交代
・個人事業主・支配人の氏名の変更
30日以内
廃業した場合(一部の業種の廃業も含む)
・一部の業種の廃業(一部廃業)
・全部の業種の廃業(全部廃業)
30日以内

決算変更届の提出

建設業許可を取得している建設業者は、毎事業年度が終了した後、4か月以内に「決算変更届(決算報告)」を作成・提出しなければなりません。
更新申請にあたっては、原則として、直近の5期分を提出していなければなりません。

例えば、許可日が平成30年8月7日、事業年度が4月1日から3月31日の場合、以下の5期分です。
①平成30年4月1日~平成31年3月31日
②平成31年4月1日~令和2年3月31日
③令和2年4月1日~令和3年3月31日
④令和3年4月1日~令和4年3月31日
⑤令和4年4月1日~令和5年3月31日

経営業務管理責任者・専任技術者の常勤

更新申請の場合にも、建設業許可要件である「経営業務の管理責任者」「専任技術者」の「常勤性」を満たしていることを証明する必要があります。
常勤実態を確認できるものとして、社会保険証や納税証明書、確定申告書や住民税の通知書等を提出しなければなりません。

社会保険への加入

令和2年10月1日以降、適切な社会保険に加入していることが許可(更新含む)要件となりましたので、令和2年9月31日以前に許可を取得している場合、社会保険の加入状況について、予め確認しておきましょう。

建設業許可「適切な社会保険に加入していること」の詳細は、こちら

建設業許可更新申請に必要な書類

閲覧書類

順番必須:■
場合による:△
様式書類の名称
表紙表紙1申請書類の表紙(閲覧書類用)
1第1号許可申請書
2別紙1役員等の一覧表
3別紙2(1)営業所一覧表(更新)
4大阪府手数料(POS)納付用連絡票
5別紙4専任技術者一覧表
6第6号誓約書
7第7号の3健康保険等の加入状況
8第11号建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表
(本店以外の営業所がある場合のみ必要)
9法人の場合のみ定款
(定款の内容に変更がない場合は、省略可)
10第20号営業の沿革
11第20号の2所属建設業者団体
(変更がない場合は、省略可)
12第20号の3主要取引先金融機関
(変更がない場合は、省略可)

非閲覧書類

順番必須:■
場合による:△
様式書類の名称
表紙表紙2申請書類の表紙(非閲覧書類用
(大阪府提出用、申請者控え用)
1第7号(別紙含む)
又は、
第7号の2(別紙含む)
常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書と
常勤役員等略歴書
又は、
常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者証明書と
常勤役員等を直接に補佐する者の略歴書
5健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入確認書類の写し
6国家資格を証する書面または、監理技術者資格証の写し
(更新申請する業種に関する書類は省略可)
7第12号許可申請者の調書
8第13号令3条に定める使用人の調書
(本店以外の営業所がある場合のみ必要)
9後見登記等に関する登記事項証明書
10市町村の長の発行する証明書(後見・破産)、
外国籍の者は、住民票
11第14号株主(出資者)調書
(変更がない場合は、省略可)
12商業登記簿謄本(法人・支配人)
(登記内容に変更がない場合は、省略可)

更新申請の期限(許可有効期限の30日前)が過ぎてしまったら

大阪府では、独自の救済措置があります。(令和5年6月時点)
大阪府知事許可であれば、有効期限までに『仮受付』を行うと、2週間の猶予期間を得ることが可能です。
※この猶予期間内に更新申請の受付を完了させなければなりません。
完了できないと、建設業許可は『失効』してしまいます。

更新申請の期限が過ぎたことがわかった時は、真っ先に、大阪府庁(咲洲庁舎)の建設業許可の提出窓口に連絡し、遅れて提出する旨を伝え、窓口に相談しましょう。

2週間の猶予期間中に建設業許可更新申請の修正を行い、提出・受付を完了する必要があります。

更新申請が遅れると、有効期限内に新しい許可を受け取れない可能性がありますが、更新審査中は、許可は有効扱いとなり、建設業の営業は可能です。

2週間で申請を完了させるために、是非、建設業許可を専門としている行政書士に相談し、確実に期間内に完了するようにしてください。

許可の一本化で許可有効期間を一つに

業種追加した業種の許可の有効期間は許可日から5年間となり、先に許可を受けている業種の有効期間と異なることになり、更新手続きは別々に行わなければならず、手間も費用も余計に掛かることになります。

許可日の異なる許可を2つ以上受けている場合に、更新申請する際に、有効期間の残っている他の全ての建設業許可も同時に1件の許可更新として申請し、許可日を同日にすることができます。これを「許可の一本化」といいます。

ただし、現在有効な許可の満了日まで30 日以上残っていることが必要です。

一本化の申請は、様式第一号(建設業許可申請書の右上)の「許可の有効期限の調整」を(1)にして申請します。

【一本化の例】
許可取得業種が下記の場合
・許可日:平成30年8月24日:建築
・許可日:令和2年3月11日:土木・舗装

◆有効期限の調整なしで「建築」のみを更新申請すると

許可業種許可年月日有効期限
建築令和5年8月18日令和10年08月17日
土木・舗装令和2年3月11日令和7年3月10日

◆有効期限の調整あり(一本化)で「建築」更新申請すると

許可業種許可年月日有効期限
土木・建築・舗装令和5年8月18日令和10年08月17日