公共性のある重要な建設工事には、現場の技術者配置が必要

公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事(以下「公共性のある重要な建設工事」)に設置される監理技術者等は、工事現場ごとに専任の者でなければなりません。

  • 元請の監理技術者等及び下請の主任技術者は元請、下請の区別なく専任が求められます
  • 営業所の専任技術者は、現場における専任の監理技術者等にはなれません
  • 他の工事現場との兼任はできません

戸建て住宅以外のほとんどの工事が対象です

公共性のある重要な建設工事とは、
①戸建て住宅(※1)を除くほとんどの工事(具体的的な工事は次項に挙げでいます)
②工事一件の請負金額が、4,000万円(建築一式工事の場合は、8,000万円)以上
の工事です。
(注文者が材料を提供する場合、その材料の市場価格や運送費を加えた額で判断されます)

※1:
事務所・病院等の施設又は工作物と戸建て住宅を兼ねた併用住宅は、
①非居住部分の床面積が延べ面積の1/2以下で、②請負総額を面積比に按分して求めた非居住部分に相当する請負代金額が
専任要件金額基準未満である場合は、戸建て住宅と同様であるとみなして専任は求められません。

具体的な工事

①国・地方公共団体が注文者である施設又は工作物に関する建設工事

②鉄道、軌道、索道、道路、橋、護岸、堤防、ダム、河川に関する工作物、砂防用工作物、飛行場、港湾施設、漁港施設、運河、上水道又は下水道施設又は工作物に関する建設工事

③電気事業用施設(電気事業の用に供する発電、送電、配電又は変電その他の電気施設)又はガス事業用施設(ガス事業の用に供するガスの製造又は供給のための施設)施設又は工作物に関する建設工事

④石油パイプライン事業法(昭和四十七年法律第百五号)第五条第二項第二号に規定する事業用施設

⑤電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第五号に規定する電気通信事業者(同法第九条に規定する電気通信回線設備を設置するものに限る)が同条第四号に規定する電気通信事業の用に供する施設

⑥放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第二条第三号の二に規定する放送事業者が同条第一号に規定する放送の用に供する施設(鉄骨造又は鉄筋コンクリート造の塔その他これに類する施設に限る)

⑦学校

⑧図書館、美術館、博物館又は展示場

⑨社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第二条第一項に規定する社会福祉事業の用に供する施設

⑩病院又は診療所

⑪火葬場、と畜場又は廃棄物処理施設⑫熱供給事業法(昭和四十七年法律第八十八号)第二条第四項に規定する熱供給施設

⑬集会場又は公会堂

⑭市場又は百貨店

⑮事務所

⑯ホテル又は旅館

⑰共同住宅(長屋は含みません)、寄宿舎又は下宿

⑱公衆浴場

⑲興行場又はダンスホール

⑳神社、寺院又は教会

㉑工場、ドック又は倉庫

㉒展望塔

監理技術者か主任技術者かは、元請工事の下請発注金額合計額による

元請工事の下請発注金額合計が、4,500万円以上(建築一式は、7,000万円以上)の工事現場は、
監理技術者を置かなければならない。

元請工事の下請発注金額合計が、4,500万円未満(建築一式は、7,000万円未満)の工事現場は、
主任技術者を置かなければならない。

例えば、建築一式以外の工事の請負代金(元請)が、6,000万円の場合
・3,000万円分を下請に発注する場合、元請業者は、現場専任の主任技術者を置く必要があります。
 (一般建設業許可で請負可能)
・5,000万円分を下請に発注する場合、元請業者は、現場専任の監理技術者を置く必要があり、
 かつ、特定建設業許可が必要です。
 なお、5,000万円の工事を1つの下請業者で施工する場合、その下請業者は現場専任の主任技術者を
 置く必要があります。

専任=現場常駐ではありません

専任とは、
●他の工事現場に係る職務を兼務せず、
●常時継続的に当該建設工事現場に係る職務にのみ従事すること
を意味するものです。

必ずしも当該工事現場への常駐(現場施工の稼働中、特別の理由がある場合を除き、常時継続的に当該工事現場へ滞在していること)を必要とするものではありません。

技術者の継続的な技術研鑽の重要性や建設業の働き方改革を推進する観点を踏まえ、技術研鑽のための研修、講習、試験等への参加、休暇の取得、その他の合理的な理由で監理技術者等が短期間工事現場を離れることについては、
●適切な施工ができる体制を確保するとともに
●その体制について、元請の場合は発注者、下請の場合は元請又は上位の下請の了解を得ていること
を前提として、差し支えないとされています。

【適切な施工ができる体制の例】
・必要な資格を有する代理の技術者の配置
・工事の品質確保等に支障の無い範囲内において連絡を取りうる体制及び、
 必要に応じて現場に戻りうる体制
(H30.12.3国土建第309号「主任技術者又は監理技術者の『専任』の明確化について」)

主任技術者が複数の現場を兼務できる条件

請負金額4,000万円未満の工事等(専任が必要な工事以外の工事)であれば、主任技術者は、複数の工事現場の兼務が可能です