経営業務の管理責任者等については、役員、執行役や補佐業務経験、役員等に次ぐ地位等のどの経験を基にするかで、必要な書類は変わります。

建設業に関する経営業務の管理責任者の経験が5年以上ある場合(イ1)

建設業許可を新たに取得する場合、『イ 1)建設業に関する経営業務の管理責任者 経験が5年以上 』で申請することが圧倒的に多いと思います。その場合に必要な書類は以下のようになります。

経験の確認書類

法人の役員として、5年以上経験がある場合

営業の実態
 法人税の確定申告書のうち、別表一・決算報告書(税務署の受付印または税務署の受信通知が必要)
 ※経験実績を含む年度分(6年度分となる可能性あり)必要です
営業の実績
 工事内容・工事期間・請負金額が確認できる工事の契約書・注文書・請求書等
 ※建設工事と次の建設工事との期間が12か月を超えていないこと
常勤の役員
 ・履歴事項全部証明書、閉鎖事項全部証明書
 ・法人税の確定申告書のうち、役員報酬手当及び人件費等の内訳書
 ※就任~重任~退任など役員期間が途切れていないこと
これら①~③の全てが重なる期間が「経験年数」となります

経験を証明する書類の例

Aさんは、平成29年4月1日に、株式会社〇〇の取締役に就任し、現在(令和5年10月)に至る場合

書類書類で証明できる期間備考
①確定申告書平成29年4月~令和5年3月まで 5年度分確定申告書別表14「役員報酬欄」に
Aさんの名前があり、常勤として記載ある
②建設工事の請求書平成29年8月~令和5年1月まで平成29年8月分 →(12カ月)→
平成30年8月分 →(8カ月)→
平成31年4月分 →(8カ月)→
令和元年12月分 →(8カ月)→
令和2年11月分 →(4カ月)→
令和3年3月分 →(12カ月)→
令和4年3月分 →(10カ月)→
令和5年1月分
③商業登記簿謄本平成29年4月1日就任~現在に至る定款の役員任期を過ぎていないこと

①②③が重なる期間は、5年5カ月(平成29年8月~令和5年1月)となり、要件を満たします。

個人事業主として、5年以上経験がある場合

営業の実態
 所得税の確定申告のうち、第一表(税務署の受付印または税務署の受信通知必要)
 (第一表に税務署の受付印はないが第二表に税理士等の記名捺印がある場合は、第二表も必要)
営業の実績
 工事内容・工事期間・請負金額が確認できる工事の契約書・注文書・請求書等
 ※建設工事と次の建設工事との期間が12か月を超えていないこと

過去に建設業許可を受けていた建設業者(現在の許可業者も含む)での経験を確認する書類

過去に常勤役員等(経管)として証明されている場合

●建設業許可申請書 又は、変更届の一部
 ・受付印のある表紙
 ・経験年数期間に該当する常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書(様式7号)

過去に常勤役員等(経管)として証明されていない法人の役員 又は、個人事業主で経験の場合

パターンA(以下のすべての書類)

①建設業許可申請書 又は、変更届(すべて写しでOK)
 ・受付印のある表紙
 ・経験年数期間に該当する常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書(様式7号)
②法人の役員の場合、当該法人の役員としての経験件数分の商業登記簿謄本(役員欄の閉鎖謄本等)

このパターンは、経営経験を証明された他の役員の経験を使って、その証明されている全期間で同一会社で役員登記されていたことを証明することで、経験ありとみなすという考えのものです。
【注意】
ここで使える他の役員の経験証明期間は、大阪府が認めた期間(様式第7号に青書きの期間)だけです。
通常、許可申請した10年前、20年前のものの場合が多く、新たに経管になろうとする役員就任期間が、青書き期間に重なっていなければなりません。

パターンB(以下のすべての書類)

①建設業許可通知書(経験年数分)(すべて写しでOK)
②決算変更届の一部(直近分)(すべて写しでOK)
 ・受付印又は確認印のある表紙、若しくは、完了通知のはがき
③法人の役員の場合、当該法人の役員としての経験件数分の商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書と閉鎖事項全部証明書)

このパターンは、比較的使いやすいパターンです。
①許可通知書について、5年以上の経営経験期間が必要なので、最低2通必要な点に気を付けてください。

支店長等での経験の場合(以下のすべての書類)

下記すべての書類
①建設業許可通知書(経験年数分)
②建設業許可申請書の一部
 ・受付印のある表紙
 ・営業所一覧表(様式1号別紙2)、
 ・建設業法令第3条に規定する使用人の一覧表(様式11号)
  ただし、平成21年4月1日改正以前は、営業所一覧表(様式第1号別紙2)に代えて、建設業許可申請書別表
③変更届の一部
 ・受付印又は確認印のある表紙、若しくは、完了通知のはがき
 ・変更届書(様式第22号の2)
 ・調書(様式第12号又は13号)
③決算変更届の一部(直近分)
 ・受付印又は確認印のある表紙、若しくは、完了通知のはがき

常勤性を証明する書類

専任技術者と同様に、常勤性が必要で、社会保険や確定申告書等で常勤性を証明します。

法人の場合

経管が、法人の役員又は、従業員の場合、下記の①、②のいずれかの書類が必要です。

①健康保険証等のセット(後期高齢者医療制度被保険者は、不可)
 ・健康保険被保険者証(申請時において有効なもの)
 ・健康保険被保険者標準報酬決定通知書(直近年のもの)
 ※健康保険被保険者証が事業所名がない建設国保の場合は、建設国保等の加入証明書が別途必要

②特徴セット(後期高齢者医療制度被保険者は、こちらのみ)
 ・住民税特別徴収税額通知書(特別徴収義務者用)(←いわゆる会社用)
 ・住民税特別徴収税額通知書(納税義務者用)(←いわゆる本人用)
 ※両方とも直近年のものが必要

注1)役員就任直後の場合
 ・直前3カ月の賃金台帳
  ただし、役員就任後3カ月目の報酬が未支給の場合は、役員報酬に関する役員会議事録
 ・住民税特別徴収切替申請書(市町村の受付印のあるもの)

注2)雇用直後の従業員の場合
 ・直前3カ月の賃金台帳
  ただし、呼応後3カ月目の報酬が未支給の場合は、
  雇用契約書、又は、労働条件明示書(給与額が確認できるもの)
 ・住民税特別徴収切替申請書(市町村の受付印のあるもの)

注3)
 ・75歳未満の後期高齢者医療制度被保険者は、後期高齢医療制度被保険者証
 ・出向者は、出向協定書、及び、出向辞令
 ・役員報酬等の月額が10万円未満であって、かつ代表者と又は代表者と生計を一にする者は、
  健康保険被保険者証又は、国民健康保険被保険者証と
  同一期間の住民税課税証明書、及び、申請者の確定申告書類
  (法人で12月決算以外の場合は、確定申告書が2年分必要)

個人の場合

③個人事業主:国民健康保険被保険者証(申請時において有効なもの)
      (後期高齢者医療制度被保険者は、所得税確定申告書(第一表)と住民税課税証明書)
④専従者  :国民健康保険被保険者証(申請時において有効なもの)、及び、
       直前の個人事業主の所得税確定申告書(第一表)及び、
       専従者欄又は給料賃金の内訳欄に氏名・金額の記載がある書類
      (後期高齢者医療制度被保険者は、国民健康保険被保険者証の代わりに住民税課税証明書)
⑤従業員  :上記法人の場合の①、又は、②
      (後期高齢者医療制度被保険者は、②または、
       直前の個人事業主の所得税確定申告書(第一表)及び、
       専従者欄又は給料賃金の内訳欄に氏名・金額の記載がある書類、及び、
       住民税課税証明書)

※所得税確定申告書(第一表)は、税務署の受付印のあるもの
※住民税課税証明書は、直近年のもの(3ヵ月以内に発行されたもの)

※所得税確定申告書を紛失して見つからない場合、申告した税務署に過去分のコピーを出してもらえる可能性があります

権限委譲を受けた執行役員等の経営管理の経験が5年以上ある場合(イ2)

権限委譲を受けた執行役員等としての経営業務の管理経験が5年以上あることを証明するために、上記イ-1)の書類に加えて、組織図や定款、取締役会議事録が必要です。

経営業務の管理責任人者を補佐する業務の経験が6年以上ある場合(イ3)

経営業務の管理責任人者を補佐する業務に従事した経験が6年以上あることを証明するために、

法人の場合は、上記イ-1)イ-2)に加えて、
・年金の被保険者記録照会回答票(年金事務所発行)
・雇用保険被保険者証(申請時点で継続して雇用されている場合)
・雇用保険被保険者離職票(申請時点で離職している場合)
が必要です。

個人の場合は、上記イ-1)の①営業の実態にある
所得税の確定申告のうち、第一表(税務署の受付印または税務署の受信通知必要)に
事業専従者欄又は給料賃金の内訳欄に氏名・金額の記載がなければなりません。