毎事業年度終了後4か月以内に決算変更届を提出する理由

建設業許可を取得している建設業者は、毎事業年度が終了した後、4か月以内に「決算変更届(決算報告)」を作成・提出しなければなりません。

決算変更届とは、事業年度終了後、その事業年度の工事経歴や決算報告書をまとめて提出書類のことで、決算終了後4ヶ月以内に提出しなければなりません。(建設業法第11条第2項)
例えば、3月決算の建設会社の提出期限は、7月31日です。

なぜ、決算終了後4ヶ月後かというと、税理士による確定申告手続きは原則として決算後2ヶ月以内とされており、その2ヶ月後にあたる4ヶ月後が決算変更届の期限となっています。
さらに、決算変更届に添付する決算報告書については、税務申告時のものではなく、建設業法施行規則で定められた様式で作成しなければなりません。

建設業法に則って、決算変更届を提出することになりますが、提出された決算変更届は誰でも閲覧可能です。
その目的は、毎年、決算変更届を提出し、その内容を公開することで、発注者は、取引先である建設業者の業績や財務状況等を確認できるようにするもので、建設業者は、発注者に対して工事実績などをアピールするものになります。

決算変更届を未提出の場合

では、決算変更届を提出しないとどうなるのでしょう。
決算変更届を提出していない場合、まず、建設業許可手続きに直結します。
「許可更新」「業種追加」「般・特新規許可」「経営事項審査」の申請ができません。(受け付けてもらえません)

そして、建設業法に、罰則が規定されており、
決算変更届を提出していない場合は、6か月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されることがあります。

建設業法 罰則
第五十条  次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一  略
二  第十一条第一項から第四項まで(・・・略・・・)の規定による書類を提出せず、又は虚偽の記載をしてこれを提出した者

都道府県によっては、定められた期限内に決算変更届を提出しなければ「始末書」の提出を求められることがあります。

※大阪府では、下記のような文言の入った書面が、通知書等に同封されています。
決算変更届は、決算終了後4か月以内に知事に届け出なければなりません。(建設業法第11条)
決算変更届は、必ず毎年提出してください
期限内に提出されない場合には、個別に指導を行い、なお改善されなければ、建設業法に基づく監督処分を行うことがあります。(建設業法第28条)

また、提出された決算変更届は誰でも閲覧可能なため、提出されていない建設業者は、営業活動していないと見られ、信用力低下の恐れがあります。

許可取得後、最初に決算変更届を提出すべき事業年度は

意しなければならないのが、許可取得直後に提出すべき決算変更届はどの事業年度かということです。

大阪府の建設業許可の手引きでは、以下のように記載されています。

許可を受けた後、決算期ごとに財務内容や工事経歴に変更が生じますので、その内容を「決算変更届出書」として、毎営業年度(決算期)経過後4か月以内に提出しなければなりません。
なお、建設業許可の更新申請の際には、前回申請から更新申請までの間の決算変更届出書が提出されていることを確認するため、変更届出書の副本を全て(5年ごとの更新のため、5期分)提示していただいています。これは、建設業許可の取消処分の要件に該当する、「引き続いて1年以上営業を休止」していないことを確認するためです。

上記に従うと、事業年度が3月末に終了する法人の場合、許可後に提出すべき決算変更届は、以下のようになります。

①令和7年1月10日に新規申請し、許可が2月に下りた場合、令和7年3月末終了事業年度分です。
②令和7年3月10日に新規申請し、許可が4月に下りた場合、令和7年3月末終了事業年度分です。
③令和7年5月10日に新規申請し、許可が6月に下りた場合、令和7年3月末終了事業年度分です。
(①②③の場合、申請時に作成する財務諸表(工事経歴書、貸借対照表等)は、令和6年3月末のものです)

よく誤解されるのが、②の場合ですので、ご注意ください。
財務諸表の事業年度は、申請時の年度から途切れることなく、提出しなければなりません。

また、令和7年6月10日に新規申請する場合、申請時に作成する財務諸表(工事経歴書、貸借対照表等)は、令和7年3月末のもので、許可が7月に下りた後、最初に提出する決算変更届は、令和8年3月末終了事業年度分となります。

※新規申請時は、事業年度終了後2か月経過したら、直近決算年度の財務諸表が必要です。
 (税務申告期限が決算後2カ月のためです)

決算変更届出に必要な書類

決算変更届に必要な書類は、以下のものです。

1)決算変更届の表紙(行政庁により指定様式がある場合や不要な場合あり)
2)変更届出書(様式別紙8号)(大阪府知事許可の場合、府規則様式第3号)
3)工事経歴書(様式第2号)
4)直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)
5)貸借対照表(法人:様式第15号/個人:様式第18号)
6)損益計算書(法人:様式第16号(完成工事原価報告書含む)/個人:様式第19号)
7)株主資本等変動計算書(様式第17号)(法人のみ)
8)注記表(様式第17号の2)(法人のみ)
9)付属明細表(様式第17号の3)
 (資本金の額が1億円超であるもの又は貸借対照表の負債合計額が200億円以上の株式会社のみ)
10)事業税納税証明書(法人:法人事業税/個人:個人事業税)
11)事業報告書(法人のみ)
12)委任状(行政書士等に委任の場合のみ)

変更がある場合のみ必要な書類
13)使用人数(建設業に携わる常勤の人数に変更があった場合)
 使用人とは、役員、職員、を問わず雇用期間を設定されていない者で、法人の場合、代表取締役も含み、
 申請者が個人の場合、申請者本人も含みます。建設業に従事しない者や、監査役、パート、アルバイトは含みません。
 決算月末日時点の使用人数を営業所ごとに、「技術系」、「事務系」に区分して記載します。
14)定款の写し(法人のみ)
15)健康保険等の加入状況(建設業以外も含む常勤の全従業員数に変更があった場合)

決算変更届の作成例等