経営事項審査の「その他社会性等(W)」は、(W1~8の合計点)✕ 10 ✕ 190/200 です。
W1 : 建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組の状況
W2 : 建設業の営業年数
W3 : 防災活動への貢献の状
W4 : 法令遵守の状況
W5 : 建設業の経理の状況
W6 : 研究開発の状況
W7 : 建設機械の保有状況
W8 : 国又は国際標準化機構が定めた規格による登録状況
W1の内容
W1:建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組の状況の構成されています。
・各種保険・退職金・労災加入の有無
・若年(35歳未満)の技術者の状況
・CPD単位取得と技能レベル向上の状況
・ワーク・ライフ・バランス(女性活躍、次世代育成、若手雇用)の状況
各種保険・退職金・労災加入ではマイナス評点あり
「各種保険・退職金・労災加入」の内容は、以下の加入等の状況で判定されます。
審査項目 | 加入有無 | 点数 | W評点 | P点換算 |
---|---|---|---|---|
雇用保険加入 | 無 | -40 | -380 | ー57 |
健康保険加入 | 無 | ー40 | -380 | ー57 |
厚生年金保険加入 | 無 | ー40 | -380 | ー57 |
建設業退職金共済制度の加入 | 有 | 15 | 142.5 | 21 |
退職一時金制度・企業年金制度の導入 | 有 | 15 | 142.5 | 21 |
法定外労働災害補償制度の加入 | 有 | 15 | 142.5 | 21 |
雇用保険加入、健康保険加入、厚生年金保険加入が、「有」「適用除外」の場合は0点。
雇用保険、健康保険、厚生年金保険に未加入の場合は、減点されるので、経審の評点アップのために、雇用保険、健康保険、厚生年金保険は、必ず加入しましょう。
雇用保険加入の有無
雇用保険は、労働者を一人でも雇用している事業主(法人、個人とも)は加入義務があります。
従業員がおらず、役員のみの会社や、一人親方は、適用除外となり、未加入でも減点はありません。
加入義務があるにも関わらず、「雇用保険適用事業所設置届」を公共職業安定所に未届(未加入)の場合は、減点されます。
大阪府では、審査基準日を含む保険年度の「労働保険概算・確定保険料申告書」と「労働保険料の領収証」のそれぞれ写しを提示して加入を証明します。
上記の書類がない場合、雇用保険保険料納入証明書(審査基準日を含む年度のもの)の写し、又は、雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(本人交付分でかつ制度対象者全員分)の写しを提示して加入を証明します。
健康保険加入の有無・厚生年金保険加入の有無
健康保険は、株式会社・有限会社などの法人(従業員有無に関わらず)と常時使用する従業員が5人以上の個人事業主は加入しなければなりません。
健康保険、健康保険組合による健康保険、職域別の国見健康保険(建設国保など)のいずれにも加入していない場合は、減点されます。
厚生年金保険は、株式会社・有限会社などの法人(従業員有無に関わらず)と常時使用する従業員が5人以上の個人事業主は加入しなければなりません。
構成年金保険に加入していない場合は、減点されます。
健康保険・厚生年金保険の加入がある場合
大阪府では、保険料納入告知額・領収済額通知書(審査基準月分を納付していることが確認できるもの)の写しを提示して加入を証明します。
また、上記の代えて、健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書(役員及び従業員(いずれも常勤)全員が確認できるもの)の写しを提示して証明することもできます。
建設国保等の建設国保に加入の場合
建設国保等(全国建設工事業国民健康保険組合や大阪建設労働組合建設国民健康保険等)の建設国保に加入している場合、経審書類の様式別紙三 項番42「健康保険加入の有無」は「適用除外」となります。
大阪府の場合、下記のいずれかの写しを提示して加入を証明します。
・事務所名の記載のある建設国保の保険証(技術職員全員分)
・理事長などが発行する事務所名の記載のある資格証明書(建設国保の保険証に事務所名の記載がない場合のみ)
・納入告知書兼領収書
健康保険及び厚生年金保険適用除外の場合
建設国保や大建国保等に未加入で、健康保険及び厚生年金保険適用除外の場合、適用除外を確認できる下記のいずれかの書類の写しの提示して適用除外を証明します。
・審査基準日に係る規則様式第4号による使用人数(直前の許可申請書又は決算変更届に添付されたもの)
・個人事業所の従業員が4名以下の場合、所得税確定申告書のうち収支内訳書又は青色申告決算書
(従業員の氏名が専従者給与欄又は給料賃金欄に記載されているもの)
・従業員の全てが出向社員の場合、出向協定書、出向辞令等及び、
出向元での「健康保険・厚生年金保険の加入がある場合」に掲げる書類
建設業退職金共済制度の加入履行
建設業退職金共済制度(建退共)は、審査基準日に独立行政法人勤労退職金共済機構との間で、特定業種退職金共済契約を締結している場合に加点されます。
建設業退職金共済事業加入・履行証明書の写しを提示して制度加入を証明します。
尚、この証明書の発行は、原則として、下記2つを満たさなければなりませんので、ご注意してください。
・決算期間内に被共済者数に見合う共済手帳の更新数があること
・決算期間内に被共済者の就労日数に応じた証紙の購入があること
建退共とは、建設現場で働く労働者や一人親方を対象とする退職金制度です。
退職金の支給の流れは、
1)建設労働者の雇い主(元請業者)は、建退共と退職金共済契約締結し、証紙を購入
2)建設労働者は、労働日数に応じて、雇い主から証紙をもらい自身の台帳に貼付
3)建設労働者は、証紙が一定年数以上に達すると、建退共に申請
※建退共制度に電子申請方式が導入され、建設キャリアアップシステムで蓄積される就業履歴をデータ連携により掛金充当に活用できるようになっています。その場合、証紙による収納はなくなり、上記1から3はそれぞれ、
1)ペイジー決済または口座振替で退職金ポイントを払込み(証紙購入なし)
2)CCUS就労実績報告作成ツールで就労状況を報告(証紙貼付なし)
3)退職金ポイントに基づき自動的に掛金が充当され、退職時に給付
となります。
退職一時金または企業年金制度の導入
退職一時金または、企業年金制度のどちらかの制度が設けられていれば、加点されます。
下記のいずれかの書類の写しを提示して導入を証明します。
・中小企業退職金共済制度又は特定退職金共済団体制度への加入証明書
・退職金制度に係る労働協約又は自社退職金制度の規定がある就業規則
(10人以上の労働者がある場合は、労働基準監督署の届出印があるもの
退職金規定が就業規則と別冊の場合は、当該退職金規定及び就業規則)
・厚生年金基金への加入証明書又は領収書
(申請者名が記載され、審査基準月分を納付していることが確認できるもの)
・確定拠出年金運営管理機関の発行する確定拠出年金への加入が確認できる証明書等
・確定給付企業年金の企業年金基金発行の企業年金基金加入が確認できる証明書等
・資産管理運用機関との間の確定給付企業年金に関する契約書
法定外労働災害補償制度への加入
法定外労働災害補償制度は、国の労働災害補償制度に、さらに労災補償を加える制度です。
(公財)建設業福祉共済団、(一社)全国建設業労災互助会、(一社)全国労働保険事務組合連合会、中小企業等協同組合法に基づき共済事業を営む者、民間の保険会社との間に、保険契約を締結している場合に加点されます。
尚、法定保険である労災保険に未加入の場合は、どの法定外労働災害補償制度に加入していても加点されません。
次の要件全てを満たしていることがわかる下記のいずれかの書類の写しを提示して加入を証明します。
【要件】全ての要件に該当する場合に限り、評価の対象となります。
a)業務災害及び通勤災害のいずれも対象であること
b)職員及び下請負人の全てが対象であること
c)死亡及び障害等級第1級から第7級までが対象であること
d)全ての工事現場を補償していること
・(公財)建設業福祉共済団、(一社)全国建設業労災互助会、全日本火災共済協同組合連合会、又は、(一社)全国労働保険事務組合連合会の労働災害補償制度への加入証明書
・労働災害総合保険若しくは準記名式の普通傷害保険の保険証券、又は、上記要件が確認できる保険会社(代理店等は不可)又は中小企業等協同組合法に基づき共済事業を営む者の加入証明書(保険約款のみは不可)
合わせて、政府の労働災害補償保険に加入し、審査基準日までの保険料を納付済みであることを証する書面