経営事項審査は、建設業の通信簿のように表現されることがあります。
そのため、点数が高ければ高いほどいいと思いこんでいる方が多いのではないでしょうか。
今回は、入札参加することを目的に、どのようなP点を狙ったらいいのかを考えてみたいと思います。

入札参加する行政庁の物件等級とP点を確認しておきましょう

経営事項審査は、公共工事の入札参加が目的ですが、各行政庁は、建設工事種類別に等級と工事金額を設定しています。
自社が入札参加したい行政庁の工事業種の工事予定価格を見据え、自社の能力、規模に見合った工事等級のより上位になるP点となるようにシミュレーションすることをお勧めします。

一例として、大阪市の建設工事種類別の等級区分及び工事金額を見てみましょう。
「平成29年度 契約管財局が発注担当となる事後審査型制限付一般競争入札における工事種目毎の制限等について」(一部抜粋)

上の表から、経営事項審査を受ける上で、P点について、認識しておかなければならないことがあります。

P点が高ければ、発注金額が上がります
発注額が最も高いAランクが営業的には魅力的ですが、このランクは、ゼネコンが得意とする規模の工事です。
ゼネコンと競合したくない場合は、自社が対応できる建設技術や規模を十分に考慮して、狙いたい等級(ランク)のP点を設計しましょう。

入札参加する行政庁の「主観点」加算には注意しましょう

さらに、行政庁によっては、独自に「主観点」を加算することもあり、
P点だけではなく、主観点を加算した点数で判定されます
主観点加算により、狙っていたランクの1つ上のランクになってしまうことがあり得ます。

大阪府の場合(大阪府/等級区分及び工事金額 (osaka.lg.jp))は、以下のような等級区分になっています。


等級区分評点=経審結果の総合評定値(P)+地元点(100点)+福祉点(8点)+環境点(2点又は4点)
で判定されるため、大阪府内の事業者は、地元点100点が加算されます。

例えば、P点が電気工事Bランクの最上位の1000点前後だった場合、地元点100点が加算され、等級区分評点が1100点となってしまい、Aランクの下位層となってしまいます。

入札参加したい工事の等級区分を狙うP点を設計しましょう

経営事項審査を受ける場合、まず、入札参加しようとする行政庁の建設工事の等級区分と工事金額と主観点を確認し、入札参加しようとする工事業種とランクを見極めましょう。
そして、狙いの業種のランクで、上位の点数となるように、主観点を踏まえた目指すP点を設計しておくことが重要です。

より優位性を高めた入札参加によって、自社の事業伸長と安定経営を目指しましょう。